それぞれの予定
「ごめんなさい、読みが甘かったです」
そう言いながら付添いの施設スタッフさんが走ってきた。
診察が終ったと連絡をもらって、迎えにきて30分ちかく待っていた。
会計までの待ち時間が想定を遥かに上回ったとのこと。
予想も付かない、何時までか分からないただ待つだけの時間はやっぱり苦痛なもので、誰も悪くない誰かに腹が立つ訳ではないがイライラはしてしまう…が、それはそれと言い聞かせる。
「いや…本当にすみません…」
「いえいえ、大丈夫、大丈夫ですから(^^)」
「カズオさんもごめんね、遅くなった…」
「この後の予定、間に合いますか?大丈夫?」
「大丈夫です、間に合いますよ」
「オレも大丈夫」
「ん?」
そうだ。カズオさんのこの後の予定はなんだろう…
施設に戻って遅めのおやつの時間。それとも時代劇の再放送があるのだろうか…
考えているうちに、なんだかホッコリした気持ちになっている。
少し認知症気味のカズオさんは、イライラしているところを見たことがない。
そしてカズオさんは、送迎終わりにいつも「ありがと」と言葉を下さる方なのです。
そうだ、もうすぐ娘の誕生日でした。
娘の今日の予定は洗濯槽の掃除だそうです。
がんばれ。
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